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*いしのなかにいる*

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 ・・・【BOOK13冊目】

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

読み終えたのは日曜の夜。でうちひしがれるように月曜の朝を迎え、リアルな仕事場でまっとうに・・・自分なりに・・・働いて、感想を懐に温めつつ働いて、気づけばあっというまに火曜の夜という理不尽なことがこの世にはある。これが村上ワールドだ。前作の期待感で読むと驚くが、これが僕の好きな村上ワールドだ

 

感想を実直に言うなら、これこそ彼らしい「マジメ」な小説。そしてやはり最近の彼らしいすごくシンプルな物語だ。内容を深く読めばそれ相応に、僕のようにさらりと流して読めば、やはりそれ相応に読める。真剣に考えれば不条理だと思うけれども、これは公正でまやかしなしの正しい物語りである

 

突拍子ない=ファンタジーは一切におこらない。つまりリアルで=真っとうな物語だ。現実というものにとても真摯に向き合ったことがその字間からにじみ出してくる。その真っとうさを嗅ぎながら主人公の時間は流れていく、そして彼(主人公も、作者も)真摯だからこそ、最後まで、決して飛び出してしまったり、ウルトラQみたいな着地をせずに、、、

 

その真摯さはあらゆる不条理さの一本道に収まり収斂していく。でも、現実の人生はまさにそうじゃないかい。誰のせいでもなく人は右往左往させられながら、自分の身体一つで、人生を相手にしゃれたセリフ一つはきながらわたっていかなきゃならない。そうマーロウのように、、、

 

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そうさ、僕はちっともね平常心をなくしたわけなんかじゃない。誰かにとっちめられたり、いわれのない不当な扱いをされたこともないし、そうさそれさえ平常な毎日の一つなのだから。ぼくはそんな毎日を、こづかれ、こづかれ、しつつしっかりと着実に生きている

 

揺るぎない現実。地震津波原発に、、、明日ミサイルが飛び出すかも知れないこの現実社会に、気の触れることもなく、まるでへっちゃらなフリしていきていく=平常世界

 

「暗い海にひとり投げ出され」

 

たってへっちゃらさ!。きっとマーロウならやっぱりしゃれたヤセガマンで自分のルールで社会を渡っていく。だからこの作品の中での会話が、まるでマーロウと登場人物である意味深な女性の会話のように展開するのはとても好感が持てる。リアリテイ不足という人も多かろうが、では聞くがこの時代のリアリティとはなんぞや!?

 

納得のいく「お話し」かそれとも、それに向き合う1人の人間の向きザマか

でも。これがミステリー小説とするなら、、、続編が出ることだろう。しかしハードボイルドだったなら、これでキッチリ終わることになろう。マーロウは自慢げに物事の解釈を披露しない。だって平常のことだもの・・・